東京オリンピック/はだいろ
 
あの夏 僕は
喧騒から 遠く離れて
小屋でも建てて そこで暮らそうと
一人になって 考えていた
死刑執行の 知らせを 届けに行った
公務員の 足音を かすかに聞きながら
なぜ 僕は
そのひとではなく
また そのほかのひとではなかったのか
だれもかれも 僕から離れていった
澄んだ 水の中で魚が輝き
競歩者の 黙考がどこにも届かない朝




戻る   Point(0)