石版/tonpekep
 
夕くれに
石版あって

陽炎はところどころで
愛の形を歪めたりする
(それは少しだけ
こころを削る)

(そうして悲しいものだけ
残っていく)
夕くれの
くっきりとした処に落ちてゆく愛の偏在

ひかりの言葉は歌えないから
それはそれで佳いことなのかもしれない
石版に抱き合う
あなたとわたしの刻み

何もない投影に
涙が触れたりする
ときどきに どこかに
呪文

絡み合う声は散らかって
石版のあなたとわたしの刻みに
夕くれは濡れている

そこにだけ愛がはっきりとしている
そこにわたしとあなたは暮らしていて
あなたは呟き
わたしは囁く
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