鳥葬/田中修子
眩しい
なにもみえぬ夕暮れのなかに
鳥葬の塔
アーチ型の風雨にいたんでいる木製ドアを開けよう
耳に痛いちょうつがいの音がして少し赤錆がおちる
取っ手にはこれまでのすべての
怯えている指紋がこびりついてギトギトとしている
灰色に芯まで冷える石畳には
無数の澄んだあなたの骨が
血の滴りのような薄灰色の糞にまみれて
散らばっていた
鳥がわたしの中に巣をつくり囀り産卵している
わたしは柔らかいところからついばまれている
わたしの
まだぬくい
コロンとしているこの目
波打っている破裂しそうな心臓の筋肉
赤いただれた花のようなはらわた
射貫かれた悲劇
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