水玉記念日/望月 ゆき
 
さよなら、と言って
去っていったあなた
の写真に
穴あけパンチで
はじっこから
パチン、パチン、と
等間隔で穴をあけていった

もう、その写真は
あなたじゃない
かもしれない、というくらいに
だれだかわからなくなって
いつしか
ただの水玉でした

水玉になったあなた
かだれだかわからないそれを
夜空にすかしてみると
小さな穴には
まあるいおつきさまが
ぴったりはまって
わたしはすこし泣きました

おつきさまの
となりの穴のむこうには
あしたのわたし
そのとなりの穴のむこうには
あさってのわたし

今日を忘れてはいけないよ、

たぶん、
わらっていました
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