微笑みが覆い隠していられるのは/金槌海豚
 
と運ぶ手を
   さっきから頭の片隅をその手がノックして呼んでいるようにも思えるのだけれど

   微笑みが憂いを覆い隠していられるのは いったいいつまで
  取り残された手袋には、戻るべき手も新しい手もなく燃やされてしまうのかな?
 いずれ憂いが微笑みを塗りつぶして 夜の雨の如く降り注ぐだろう  
そうしたら頭の片隅をノックする手は立ち去ってくれるのかな?


見渡す限りの祝福の拍手に包まれる
 決して見返りを求めることのない、慈悲と奉仕を尽くされる
  食欲を満たす食事と、笑い楽しむ休息と、夢を遊ぶ安眠とが与えられる
   いつでも私の傍に寄り添って、支え導いてくれる人がいる

   微笑が喜びを覆い隠していられるのは いったいいつまで
  庭の花壇にお水を撒き、年老いた猫に食事を与えなくちゃいけないのかな?
 いずれ喜びが微笑みを吹き飛ばして 桜の如く舞い散るだろう
そのとき晴れても嵐でも、私の帰りを誰か待ってくれているのかな?
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