童話の指輪/田中修子
 
新宿の伊勢丹の
いいお店で働いていたときに

うんとお買い物してくれたおばさまの
ぜんぶの指にひかる指輪みて
がっかりしたの

わたしの中には
スニフの落ちたガーネットの谷から拾い
長靴下のピッピのお父さんのくれた金貨溶かして

金にガーネットひかる
うんとしっかりくる指輪がとっくに
どっかにあって

働いてお金ためて買いたかったが

(なぜだか王子様がやってきて捧げてくれる
予感はなくて)

どうもそんな指輪はこの世にないと
気づいてしまったときだったのよ
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