冷たい穴/Seia
二日ほど前
顔のあたりに穴が空いた
穴というべきかなんなのか
顔があるべきところに
冷たい空気がただよっている
加湿器から出たほわほわが
渦をまいてとどまっているようだ
きっとこれは罰なのだろうとおもう
予兆はたしかにあった
ときたま
顔の感覚がなくなることがあった
頬をさわっていても
てのひらに感覚はなくて
もしかすると
わたしの顔は今
存在していないかもしれないと
尾羽根を振りながら歩く
カラスを見ながらマフラーを解いて
ヘルメットを外した
左から右へ
作業は流れていく
ひとりの手が止まれば
透明な水は濁るなか
プラスチックのパックにのせら
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