時間外/ただのみきや
れて零れだした青いインク
歌はどこか古びて新しい横顔のよう
プランターの土にどろどろ溶けて往く
在りし日のわたしの夢
かつてわたしたちは互いの冷たい体に穴を開け
釣り糸を垂らして目を瞑り
魚信に全神経を欹てた
盲目故に見つめ合い
肌よりも深いところで感じては
反応し 明滅し
過剰なほど盛りつけた
知られない底なしの餓えが
己が魂の空白の金型で
成型した互いの姿を愛していた
やがて服を着せられた飼い犬のように
鼻を鳴らしてすり寄っては
狂ったように吠え合って
互いが互いを
ペットにしたり飼い主にしたり
心地悪さに依存して
二本の絡み合った釣り糸
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