a spool/終
いこなせません。持ち手の先に付けることが出来た銀の鈴がいぶかしげに小首を傾げます。
びしょ濡れになった真白なレースのワンピースの裾を絞りながら銀の雫を掬います。
漏息
澄ました水を眺めるくらいのここは小さな部屋です。
ひと夜、銀の雫はワタシに抱かれて眠ります。
太陽が出たりすることも月が沈んだりすることもない窓枠から時折零れ落ちてくる銀の雫は、静かに音もなく眠りにつきます。
ワタシは、銀の雫を抱いて、唯、そぉっと撫でてやります。
唯、そぉっと息を潜めて銀の雫を撫でてやります。
音もなく、ひと夜更けるその間に。
真白なレースとワタシの胸の間に。
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