猫のような雲/藤鈴呼
 

秋晴れの庭園 左側に翡翠の原石
雲の向こうに にゃおんと鳴く猫を見た

銀杏並木とは言えぬ たった一本の存在感に
デクノボウなんて癒えなかった傷を塗り込む仕草

後ろを眺めて前を向いて 
トンチンカンな繰り返し

電車の名前は〃々〃ゞ
恥じらいを捨てたレール

滑車とトロッコの隙間に挟まった泥を落とすには
乾かさなければならないよ

未だ太陽が天に一番近いから
もう少しだけ我慢してね

影を待つんだ
自分の影は自分じゃ踏めないんだって
知っているだろう

逃げ水ならばどうだ
反射角度を利用して 順繰りに逃げて行くんだ

大理石に映る 金色の影が
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