カラメルソース/藤鈴呼
 

私を敵に回すと怖いわよ
蔑んだような口調が
渡り廊下に響く
吸収素材ではあるが
温泉の如く 生暖かいような記憶
ぼこりと湧き出る雫は
不可思議に折れ曲がり
光の十字路を生み出した刹那
ゆっくりと 剥がれ始めた

屈折した心の奥に
闇の刃が佇んでいて
今斬ろうか 今切ろうかと
唇を開いて待っている
大きな断ち切りバサミが
布の手前にあって
包まれるのが先か
視界を閉ざすのが懸命か
悩んでいるふう

ここに楕円形の米粒が一つあって
さあ食べて御覧なさいと言われたら
一体どうするだろう
瞬時に感じる空腹感
我慢できぬ程の痛みを
炊飯器にブッ混んで 
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