もう僕らの時代ではない/はだいろ
 
ったなあ
そして僕は十分な成長はできず
そういえば
ずっと昔
さなぎから羽化しようとしている蝶をじっと見つめていたら
蝶がうまく羽を広げられないままになってしまった
あんな感じ


もう僕らの時代ではない
もちろん僕らの時代があったのかは定かではない
でもきっとあったのだろう
そもそも僕は自分の同世代が大嫌いである
まるっきり馴染めたこともない
ただそれでも僕は
生活しなければならない
早く年金生活に入りたい、
僕の夢は定年退職である


途方もない夢を見て
息もつけないようなときめきに悶え
ただ自分への恥じらいや同じくらいの憧れや
海に
風に
空に
君に
涙さえこぼしていた僕の
夢は今
無事なる定年退職である






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