黄色い花/水菜
 
かな少しひんやりとした山風に

レモン色っぽくぼやけて でも強い存在感のまま揺れてる本来 黄色ではない筈の花
わたしの心象風景のそれ

近づいて近づいてそして遠くなって
幻の柔らかな笑い声をたてた少女が

小さな黄色い花束を右手に持って
その黄色に見える花に向かって駆けていく

薄いピンクのふわりとしたワンピースのスカートが風で丸く膨らむ
肩口ほどの柔らかそうな髪
少女の傍でトンボがふわりと舞い上がる

音が耳に残り音だけがそこに置いて行かれる
幻のそれはわたしの心象風景

風が連れてきたわたしの

甘やかに笑う風とぼやけたように淡くかすむ黄色に見える花 風 秋の それ

いつのまにか淡く残り香だけ残して消える心象風景 幻のそれが

風がわたしの頬を柔らかくくすぐって
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