肉体労働/葉leaf
風景は一枚の情報体、あまねく毛細血管を張り巡らせて光を行き届かせている。人間はその冷たい視覚により風景から厳密に締め出され、もう一枚の空白の風景として彼方まで広がっている。人間が風景の一員として光を受けるとき、彼はもはや空白ではなく色彩や形態を持った自然物として労働している。労働は人間を風景の中に取り戻すのだ。筋肉と関節と血液と汗を用いて果樹などの植物や資材などの土礫とともに踊るとき、人間は風景の他の構成要素と全く同等に自然の奔流の中へと編み込まれる。
果樹を収穫するために果樹園の中を探索する、その体の運動はむしろ人間の内部を探索する運動である。葉をかき分けることで神経の束をかき分け
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