短詩八編/本田憲嵩
 
れた小さな糞を放(ひ)り出している。


   「時の果実」


カチ、カチ、カチ・・・、


時の果実を秒針が絶えず喰らう、噛み砕いてゆく、そのわずかに滴り落ちた汁をぼくらの耳が口となって啜るのだ。そのあまい汁を。ぼくらの心臓は脈打つ。
そうして秒針からも我々からも放(ひ)り出された糞は過去である。


   「モジャ公」


「わたしは常にあなたたちの下半身とともにある。


   「半ズボン」


たくさんの秘密を分け合おうよ
魔女のように下卑た笑みをいっぱいに浮かべながら
沸きたつ好奇心に駆られながら
たくさんの楽しいことを


たとえば男子トイレの
鍵がかかった個室のドア
となりの個室の壁の上から
こっそり覗いてみると
それは校長先生だったときのような
思いもがけない楽しさ


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