柔らかな音 ゼロになって 真っ白なとき/水菜
例えば水が滑り落ちる音
例えば瞬きする音
例えば呼吸する息遣い
例えば動き続ける心臓の鼓動
ゼロになって
ゼロになって
わたし、今、ゼロになって
まっさらな自分になって
わたしが滑り落ちていく
わたしがかわっていく
わたし、今、ゼロになって
過去みていたものを、薄透明な膜の向こうから覗いている
わたし、今、過去のわたしをしらない
過去のわたしがみていたものをわたしはもう体感できない
過去のわたしが感じていたおもいをわたしはもう体感できない
けれども、薄透明な膜の向こうには、今でも過去のわたしの息遣いが息づいていて
わたしになにかを語り掛ける
わたし、今、ゼロになって
少しずつ少しずつ、わたしは、白い膜を脱ぎ捨てて
わたし、今、ゼロになって
今も、過去も、否定はしたくないから
今も、過去も、大切な大事なそれ
わたし、白い膜を脱ぎ捨てて
裸足になって身軽になって
わたし、そっと、前をみて
過去を繰り返し思ったりはもうしないの
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