わがままな水/
草野大悟2
だ、とすんなりとは納得いかない。平素から常識人をもって任じているぼくとしては、どうしてもこの現実を受け入れることはできない。
その時、そより、と風が吹いた。
上空から聞き馴染んだトンビの啼き声が降ってきた。見上げると、大きな影が悠然と滑空している。
視線を川に戻した途端、青鷺が飛び立ち、川が音をたてて流れ始めた。
飛び立った青鷺の嘴には、過去という魚がしっかりとくわえられているのが分かった。
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