蔦/藤鈴呼
河原に生れる ネコヤナギ
少し春の矛先を帯びた風に吹かれて
ふわふわ ふわふわ
綿毛をも 連想する 頃合い
昔は ザクザクと 赤い筋を作りながら通り過ぎた
背の高い 緑のカーテンも
登山靴のような 大きな足跡で 埋めてしまえば
まるで 何事も なかったかのように
灰色の ハードルとなる
乗り越えられるか
その必要など ないと
普遍性に 背を向けて 呟くかで
その後の人生は 随分と変わって行くけれども
どうだい? 春の心地は
これから 温かな季節が来ると知って
誰よりも 嬉しいかい?
誰にともなく呟けば
まあるくなった やわらかな矛先が
うぬ と
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