歌1/汰介
 

山の中で行われている工事や、標識が過ぎ去って行くのを、
夢見心地、酔い心地で、見るとも無しに意識する。

静かだ。

何故なら、人里離れて過ぎていても、過渡的なら、
平和で穏やかな気分にさせ得る好例、だからだ。
かと言って、それはまた街へと繋ぐ約束でもあるし、
やはりそれには、適度な開放、適度な不安、だ。

ところで性とは、やはり私と人里を繋ぐ媒体である。
私の性について誰が知っていると言うのか?
私は不敵な笑みを、確信に満ちた生命力に満ち満ちた顔を見る度に、
――やはり、冷笑するのだ。

刹那の事なら、やはり夢、虚構で終る問題だ。
刹那の針の上を踏み台にした将来に、やはり私は生活を預ける事は出来ない。




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