タモトユリ/藤鈴呼
 
った
そこに 一輪の星が 瞬いて いたこと

百合の花粉は 白いシャツに染み付いたら離れない
二度と手を離さないと誓う 恋人達のように
イラナイ口紅の後よりも もっと 厄介なのだ

袖の下に隠した金貨 いちまい にまい
三枚目が必要なのに いちまい にまい

断崖絶壁の光景など 想像するだに 御免だ
足を伸ばして にじり寄ってみても
この身を 支えられるとは 限らないだろう

その足先に埋め込まれた石粒が 
今直ぐ砕けぬと 何故言える
何故癒えぬ 

居住まいを正して 少し痛む腰を引きずって
白い湿布を貼り直して 少し歩いた
追い駆けて来るのは 百合の優しさ
馨しさだけ そのままにして

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