星輪/藤鈴呼
風を止めようと思いました
ふんわりと歌う 白いカーテンに 話し掛けましたが
反応が ありません
もしかしたら 聴こえていないのか、と思い
もう一度 声を荒げてみましたが
風は ふんわりと 翻るまま
まるで 弄ばれても いるようです
白いカーテンだから 駄目なんだ
闇に溶ける瞬間を 知っていますか
少しずつ 星空が 近付いて 来るのです
本当の距離など 知る由も ありませんが
遠く 遠く
絶対に 手の届かない場所だと言うことぐらいは
幾ら 知識の足りない私とて 知っています
それで 行方不明の時計を 捻り倒すのです
時間よ止まれ 時間よ止まれ
そんな呪文が 全
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