月明かり/服部 剛
 
グレープフルーツ色のグラスを、手に
今夜はこうして夢見よう
いつかは消える、この道ならば
少々頬を赤らめて

僕は知らなかった
今・この瞬間、世界の何処かで
赤子が産声をあげている

いつのまにやら大人になって
しかめっ面の日々を裂くように
雑踏を潜り抜けてきたけれど   

 今ももこうして、脈を、打つ
 自分に祝杯をあげよう

グレープフルーツ色のグラスを、手に
転寝(うたたね)する…脳裏には
暗幕の夢の夜空に  

  おぼろ月

出来損ないの日々を演じる、自分さえ
今夜は何故か少しだけ
ゆるせそうな気がする  

今まで、歩いてきた道を  





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