ルオーの絵/
服部 剛
私の内面の鏡には
百の顔がある
まともに視れば
自らがもたないので、私は
へどろに包まれながらも
発光する太陽の真珠を
自らの御魂(みたま)として
秘密の祭壇へ
無心にのばす――両腕で
捧げる
机上に葡萄酒のグラスを置く、独りの晩餐会
古びた壁に掛かる絵は、かつて
ルオーが画布に描いた
貧しい月夜の街角に立ち
震えるのひとの傍らにいる
朧(おぼろ)ないえす
少々、頬の赤らむ
私の前にあらわれる
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