終電/
 
子に憧れていた

踏切の向こうでカメラを構える
あれは、いつかの私だろうか


揺れる
一人きり、取り残された車両に溶け落ちて

誰も居ないホーム
行き先を無くした電光掲示板
シャッターが閉まって
そうしたら
どうだって、終わりは来るのだ

名前と
身体と
思い出と
鞄の中身と
明日の予定と
思い付く限りを置き去りにしながら

私が
運ばれていく





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