みずの器/
むぎのようこ
流しのしたの夕日、敷き布団のしめり
はたはたと風をはらんだシーツが
あおぐろい空を抱いている
はじめの雨粒をうけて濡れている
芍薬のはなびらの萎れ
みどりは濃く
吹き荒ぶだけの夜に
月や星をさがす
心細さや
喉の、奥に満ちていく
ましろいあかりは
誰のものでもなく連れ立った孤独
背中のまるみをなぞった
手のひらから朝が来て
ひきつった
窓辺のあまおとは
君がつむいで
はらりとそれを仰いで私は
咲いた、
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