唯/ミナト 螢
 
旅人の靴を履いている人
いつも忙しく走り回っても
見覚えのある細い指先で
涙の温度を測ってくれた

君はもう新しい土地に慣れて
庭の花に水を撒く時間だ

恋が終わっても心は続く
長い爪で引っ掻く傷のように
痛みを覚える白いチョークで
流れ星のような道を作った

片方だけ置いて行った手袋が
あと少ししたら必要になる

復活の呪文を唱える時は
君の耳元が良いと思った
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