スイッチ/藤鈴呼
在をも
凌駕した
帆が見えるから きっとあれは 船
穂が実るから きっとこれは 米
歩を進めれば きっと行ける 道
みちのりにつけるのりが見当たらなくて
ベタベタの手のままで 探す
軍手は もう 必要なくなった
北風がつぅと吹く内は
大分重宝されたものです
今では 汗を拭くくらいが関の山
その内 見向きもされなく なるんでしょう
そんなこと 分かり切った 事実ですね
五隻の漁火から
そんな話し声が響く代わりに
ポオと嘆く音が 聴こえた気がした
遠すぎて ちょっと 分からないのが残念
もう一度 夕闇のスイッチを押したら
彼等も 海の中に 隠れてしまうから
今の内に お喋りをしよう
たわいもないこと
山登りをした時の おはなし
見上げた太陽の 美しさ
そして
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