エンケラドス支局第一報・海王星行き旅客船宇宙海難事故・放送原稿/北街かな
 
です

その表現と感触と温度の各惑星系における多様性に関しては
これからちぎれゆくあなたに詳細をつまびらかにしてご報告差し上げる時間は残されておらぬと推察します

貴女の挟まっている壊れすぎた故障済み旅客船の噴きあげる地球の潮は、みずみずしくきわめてしょっぱく
この無味無臭の宇宙闇のなかでは極めて生命に近すぎて
ここエンケラドスから望遠鏡で確認する限りでは
直視できないほどに生き生きとしすぎていて
私は、私はとっても泣くということをいますぐにしてみたくなりもするのです

だが私はとっくに肉体などなく、ずっと宇宙の背景の一部であり続けて
今いかにかにして貴女へと最期の放送が実
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