箱庭/卯月とわ子
意味のない涙が
また頬に道を作った
定点カメラで観測する貴方の庭は
わたしに季節を教えてくれる唯一のもので
若葉が鮮やかに揺れている
太陽に向かって咲く花は
目に沁みるほどに黄色い
もうすぐおやつの時間ね
時間に正確なメイドがわたしに差し出すクッキーは
いつも同じ物
曜日によって変わる飲み物が
私のカレンダーで
確か今日はアッサムの金曜日
夜が来るまでにすることは6つ
ベッドに横になるまでにすることは3つ
合計9つの仕事がわたしの生きる意味
涙を流すことは仕事に含まれていないわ
意味のないことをするなんて勿体ない
定点カメラはずっと前から壊れてい
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