四月のデニーズ/番田
日曜日は雨で 午後に馬喰町
久しぶりに私はSと二人だった
どこに行くわけでもなく行き慣れた喫茶店で
そこで 私たちは日常についての話をしていた
言葉は私たちから話された
そこに意味はあるのかどうかは 今は
わからないけれど
彼と話す言葉の感覚は 嫌いではなかった
雨が外はずっと降り続いていた
私が何杯も飲んだ テーブルのコーヒー
テーブルのデニーズの色の硬さの 失われていく
透明な時間の中で
どこに私は 行くのか
どう生きていくのか これから だけど
わからない 何も そして ただ
夢見た楽な生活を思い描いていた
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