擦れ違った空気の分だけ/藤鈴呼
と
何かが 弾けた
跳んで行った
真冬の兎は 雪に埋もれると
見つけるのが 難しいのよ
涙で染みた 白いマフラーが
赤い耳を 哀しく 染めた
あなたと わたしの あいだには
この間まで あたたかかった筈の空気が
歪んで 取り残されていた
だからね
思い切り 息を 吸いこんで
吐き出してみた
白いばかりの 吐息が
ちょっとだけ 桃色に 染まった
もう直ぐ 雛祭りだから
仲直り しようか
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