sugaru/木屋 亞万
 

冬に雪が降るように
春は砂糖が空に舞う
なまあたたかい日差しと
つめたい突風に乗って
粉糖がにわかに吹き上がる
乾いた頬にさらさらと
なめると甘い
空気がもう
糖分で黄ばみ始めて
まだ幸せではないのが
自分だけみたいに
ひっそりと
sugar


砂糖にまみれたときに
避けるべきは水分で
咲ける花々も
週末には焦げついて
街を覆う
人工甘味料も
人体に有害な気がして
しあわせだって
ふこうだって
甘さだって
辛さだって
同じように
人をしに追い込むし
さいごに背中を押すはずの
手が
いくら振り返っても現れない
この先がいいのか悪いの
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