貝殻の記憶/藤鈴呼
ザプンと飛沫が上がる度
痛みが 一つ 弾けます
空は 真っ新なほどに 青くて 白くて
耀く太陽が 全てを覆い尽くす程に
ツライのですが
その言葉を 発する手前で
光が 消して しまいます
砂に書いた言葉が
いけなかったのでしょうか
否
きっと
手にした棒に 描いても
同じだったのだと 信じて
前を 見つめると
ザプン
さっきよりも 少し大きな波が
何かを 弾き出しました
あれは 珊瑚
岩場に貼り付く 貝殻みたいに
無言では ないの
いや 違うね
本当は ホタテみたいに
中身は 面白いのだけれども
普段は 脳を 閉
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