phosphorescence/紅月
 
はサイドボードに置かれた青いLEDのデジタル時計の点滅を眺めつづけていた。彼女の呼吸と電子的な明滅のテンポは隔たりと交わりを繰りかえす。繰りかえす。

背越しの物音に半睡から覚醒する。彼女が身を起こしたようだ。衣擦れの音がきこえ、それからしばらくして彼女はベッドから降りる。気付かれぬように様子を窺うと、全裸の彼女がおぼつかない足取りで窓辺へと歩いていくのが見えた。彼女のあまりの異様さにしばし声をかけるかどうかの逡巡がうまれ、そのうちに窓をあけた彼女はするりと滑るようにベランダに出ていってしまう。ここからでは外の様子を確認することができない。しかしなぜか、見てはいけない、知ってはいけない、そう思
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