バチのオト/藤鈴呼
 
 真っ白に 染まる瞬間
何処か 新しさを感じるのです

集めた雪玉を
ゆっくりと投げる
何処か 山の向こうに反響しながら
打ち返してくる バチの音

カツン カツン
叩きたかった 石橋が
雪に埋もれて 見当たらないもんだから
探しているのですね

バチを持つ手は
夏には きっと 浅黒くて
薄着をしながら
水色の液体なんかを 流し込んだ喉も

今では ウイルスに侵されて
咳き込むばかりの 日々

沢山 沢山
語りたいことが ありすぎて
咳き込むのとは 
訳が 違うのです

それでも 言い訳のように
ここには 加湿器がないから、と
小さな声で 呟くのですが

カラカラの喉では
音に ならない

どちらかと言うと 階下に響く
子供達の歌声に
かき消されて しまいそうで

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