蜘蛛の手/塚本一期
ねもう
誰が病気で誰が病気でないのかもわからなくなったけど
きみ
きみだけは
健全だって
ぼくは
信じれた
信じれていたし、信じれていたし
ぼくはひん曲がっていたって
あのおばちゃんたちの渦の中
侮蔑と嘲笑の視線の剣が刺さるぼくの眼球に
上を見ると映ったのは
光の中からまっすぐに下りてくる蜘蛛の糸のような
きみの声
「おまえは、ダメなやつなんかじゃない」
ああ、カート、ごめん
ぼくも、カッコよく
自己嫌悪の中にいたいとおもっていた けど
光の中に抱かれて いたいんだ
意地悪なやつらは嫌い だよね?
ぼくあんな風に、なりたかないよ
生きられなくなるのに それでも
それでもやっぱり
なりたかないや
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