白い沈黙/のために/末下りょう
 

笑いをこらえられない男

キャプチャー
除雪機
誰も歩いていない雪道


トロフィー 、
ティカップ
乳歯
ヘアブラシ
ビニールの風車
誰かにとってそれが知っているなにかに似ているという寂しさ

(この部屋から始めよう
いくら話しかけてもあなたはいないから
わたしを迎えにきて
喜んで出ていくから)

雪だったはずのものたちの羽毛をむしる

空白は深まり
透明につみかさなる工程にさらされて
凍えた


止め処もない迂回と放心のさなかに
雪崩に絞りこまれて尖る眸を
待つように
その足はすぐそばで激しくさがしている
きみを

戻る   Point(4)