アトランタ 大雨 ボーイング Made in China/末下りょう
の匂いがやたら浮いて
コンコースのほうから乾いた靴音が移動してくる
遠ざかったはずの遠さがすぐそこで
遠いものの遠い目つきで
雨の実在だけを知らせてる
横滑りの時差だけなら国籍のない夜を
コレクトコールの代わりに積んだコインを指で崩せた
なにもなかった町の始めの部分に休む灯りをみつけて
なにかの役割を形づくるように
味のきれたガムを銀紙にくるみ
区切ることから区切れて強まる雨をひどい姿勢で眺めた
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