Fw:/末下りょう
 
かんで
傾いて生える樹木の幹から
子どもたちは楽しげに飛び込み
素知らぬ顔で女たちの水におしっこを放つと
たったいま生まれたばかりの
クラゲのように
揺れていた

素晴らしい世界に


夜道─

夜道をあるいて
角を曲がり
つまずいて
ころび
立ちあがり
はしり
角を曲がり
つまずいて
ころび
ふりかえり
夜道からぼくがきて
つまずいて
ころび
立ちあがり
ぼくをみる
月あかりと
つきあたりのない
夜道をあるいて
棒立ちの王様に仕えて
王様を王様とよび
角を曲がり
つまずいて
ころび
立ちあがり
はしり
角を曲がり
つまずいて
ころび
ふりかえり
夜道からぼくがきて
つまずいて
ころび
立ちあがり
膝をはらい
自転車のブレーキ音に
かき消された
ことばなにか
開いたくちが
バカらしく
背中をかいて
ふりかえり
夜道をあるいて
角を曲がり
ぼくが追い越してく
背中をかいて
はしり

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