創作童話詩/水菜
み潰してしまわないで。
ねえ、お願いだ、僕の可愛い林檎を僕に返してくれないか。
僕の林檎は、とても可愛くって、僕の林檎は、とても切ない。
夢の奥で、僕の可愛い林檎を持ち去ったあの娘は、僕に向かって印象的な瞳でツンと見つめた
ビロードが揺れる
緑の木陰のむこうで
湖で美味しそうに水を啄んでいる白い鳥
嘴を上に傾けて
白いスラリとした喉元が美しい
僕の林檎は、あの夢の奥へ消えてしまった。
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『かたつばみ』
カタツバミ、あたし、カタバミ。
カタバミ、あたし、ツバメ。
カタツバミ、あたし、カタコト。
カタバミ、
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