彼との淡い思い出に。/ヒヤシンス
 

 風の奏でる色彩はいつも淡色。
 僕の奏でる色彩はいつも原色。
 
 君は過去に向かって生きているんだね。
  僕は過去に縛られているつもりはないよ。
 そういう意味じゃないよ。
  どういう意味?
 君の全てはセピア色でできているんだ。
  ???
 
 彼は16才で逝ってしまった。
 きっとその時からなんだ。
 僕の心は原色で満たされている。
 僕は原色が嫌いなはずなのに。

 優しさの中に弱い嘘を見つけたんだ。
  優しい人が嘘なんてつくの?
 優しい人は強くなくちゃいけない。
  ちょっと疲れちゃったよ。
 
 そうだ、もう疲れたよ。疲れた。

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