エンドゲーム〜崩壊の序曲〜ファウスト/Terry
 
たようにその男は、
「おおぉい、見た感じ普通やぞ」
 と嘆き、クラスの女子が、
「だから気付かなかったんです」
 愛願した。聞きようによってはこうも解釈できる。---獣をどうにかしてください---達夫は目を伏せながら口をぱくぱく動かしていた。
「何やってんだ。あいつらは」
 周りを無視してどしどしと自転車まで歩き、涙を溜めながら自転車のハンドルを畜生と二回叩いて過ぎ去ろうとしていた。警察官は悲しんだ顔を見せ、白コートの男は、
「おい、その試合どんな様子だった?」
 問い詰めると、担任教師が答えた。
「無言でした」
「無言! 国防省へ連絡しろ」
 命令すると記者は、
「はっ」
 車へ向かって行った。達夫は校門を下りた。これらの会話は達夫の耳に入っていなかった。
 達夫は獣ではなく、人々からの感性の観点からするとそれはかっこよすぎたのだ。女子たちのあの冷酷な目は、達夫のプレー精神によるものだった。得点詐称は、責任を逃れようと好転させる魂胆で、実質達夫は最強のチームに勝利していたのだ。
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