螺旋の上/プル式
 
ある日僕の半分の世界が消えた
右の目と左目は統合され世界は
無意識に歪めていたその虚を剥がした
腫れ物を触るように言葉を選ぶ人
何も変わらないように言葉を交わす人
それぞれのそのどれもが過去の僕だった
そうして僕は少し冷めてしまった

車は人に優しくない
街の喧騒は人に優しくない
人の目は人に優しくない
優しさは人に優しくない
言葉は人に優しくない
仕事は人に優しくない
世界は優しくないもので溢れている
そんなことを思ったある日
僕の友人が言った
どうやら僕は笑わなくなったそうだ
大丈夫かと聞く代わりに
友人は僕と一つになった

僕の世界が二つになった

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