淡い水色の/本田憲嵩
 
木製の昼の頭蓋の
硬さとおなじだけ
いつまでも揺蕩っていたい
すこしだけ曲げた
指さきと指さきとで
共有しあう
些細な、ひとひらの花弁をひとつの接点として
子供がつくった水色のゼリィーのような
たがいに繋がりあった
透明な旋律線
羽毛のような軽やかさに
いつも
釣り合わない握力で
その肩を掴もうとしました
うすいシャツを着た
顔のない、
あなたの後ろ姿は
なんにも書かれていない
淡い水色の、うすい便箋のようでした
とっくに賞味期限の切れた
あなたが綴った文字を消した
なにかを屠る行為にひとしい




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