鴉なぜ、鳴かないの/もっぷ
わたし何も見えなくなればいいのに
聞こえなくなればいいのに
云えなくなればいいのに
感じなくなるのが一等いい(たとえば空腹)
そんなことばかりを考える鴉は
鴉のなかでも異端で
おんなじ黒い翼のはずが
なぜかいつかしら目立ってしまう
願うばかりじゃなくなって さすがに悩む それでやっぱり
わたし何も見えなくなればいいのに
聞こえなくなればいいのに
云えなくなればいいのに
感じなくなるのが一等いい(それは恥ずかしさ)
とても恥ずかしくて いたたまれずに
ついに翼を折りたたむ そのままとりあえず歩いていたら
感じたくない空腹を覚えやすいようで
やっぱりつらい せっかく悩ん
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