落ちない泥/モリマサ公
線のむこうで背丈のすすきが枯れながら
透明の輪郭でざわざわと揺れている
今
と云う名のフラットな戦場をはっきりとよこぎる
おれたちジャパニーズをのせた国産車のフロントに
アングロサクソンのこぐ自転車がはじいた小石がぶつかり
風の強い日の木漏れ日と巨大なミラーボールは区別がつかない
明滅するふるぼけた皮膚をばっさりと切り落とす
しみだらけの高架下に
タグられたアルファベットのスペル
乾いたアスファルトの轍にハンドルをとられ
ぼろぼろの形容詞が明朝体でモザイクをかける
カギ穴からカギを抜いてくちびるを噛む
どの光にも噛み砕くたびに
痛みがあること
空には傷跡が
ないということ
カウント
さん
にい
いち
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