あいつはあれから/番田
酒を飲んだ翌日
私は あまり 具合が良くなかった
それから 目黒川に向かった
秋の入口のような木々の色を通り過ぎた
会社で問題を起こしたあいつは今はどうしているのか
思い出す 昔通った通りの光景を
新しいバックを 私は カゴに乗せて
誰に会うわけでもなく冬が始まる
今もうまくやっているといいけれど
深夜だった 彼と二人で帰った道
彼は気性の荒いアメリカ人の血の入った男だった
やがて 結婚して 彼は独立した
彼の好きだった音楽を思い浮かべながら
私は あれから何も変わっていないと 歩きだす
人も音楽も移り変わっていくけれど 川のほとりの道を歩く
私は 少し英語を覚えただけだった
戻る 編 削 Point(1)