バス待ちの青年/葉月 祐
 


古びたバス停で 
僕を乗せてくれる
優しさを持つバスが来るのを
かれこれ数日は待っている


そろそろ
待ち疲れてしまいそう
もうすぐ
自分の中の最後の糸も
切れてしまいそう


この数日の間に
燃えそうな朝の訪れを見た
雨上がりの地面から
虹がにょきっと はえるのも見た
夕焼けと夕暮れが繋がり
舞台でしか観れない様な
赤と青のグラデーションを
空に映すのも見ていた

行き交う人々の流れや
走り去る車達
猫の親子が散歩していたり
買い物帰りの老夫婦
デートを楽しむ学生達
仕事帰りのくたびれたスーツ姿

今までにも見てきた
日常らし
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