すりおろしりんご/藤鈴呼
 
銀色のボールを 出されるから
ヨウジを 手にして しまうのです

ふよふよと浮く 
塩漬けにされた 甘かった林檎が

少しだけ 
そっけなく
しぼんだふうで

お前は そんな筈じゃあ なかっただろう 
もっと 輝いていた筈だろうと
嘆く声だけが 響くから

反響するような 窓と言う窓を
全て 閉じた後で
カーテンを引く

ミュートしてしまえ 全てを
すりおろしてしまえ 果実を

コソギ落としてしまいたいのは 脂肪の事実
死亡させるには 期間限定の現実

ぷんわりと 甘い香りを放つ 餅ばかりが
待ち遠しいけれど

空腹にまかせて かっこんだら
きっと 後悔を するんだからって

お天道様が ゆっくりと 微笑むのです

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