染まれない/ひびき あきら
 
かなしみで染めたシャツを纏い  

群青の空に手を伸ばせば 

かすかにざわめく 赤い血潮よ

しずかにゆらめく 白い指先

かなしみは 薄浅葱色 

空はこぼれた 泪の色

さまよう白は 染まることも出来ず

ただひたすらに ゆらめいている

染まったものは もう戻れない

素の色は何だったのか

もう思い出せはしないけれど

日々に 上書きされていくその色が  

わたしなのだと 信じている


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